Teatime
── とあるうららかな春の日、道明寺邸テラスにて ──
「つくしちゃんとこんな風にお茶するのって久しぶりよね」
「ほんと、お久しぶりですね。お姉さんお元気でした?」
「ええ。つくしちゃんも元気そうで。司とは仲良くやってる?」
「はぁ・・・まあまあ・・・です」
思わず赤くなるつくし。
椿は、紅茶のカップを置こうと前に屈んだつくしの首にかかるネックレスに目を留めた。
「あら。つくしちゃん、そのネックレスって...」
つくしは反射的に左手でネックレスを隠すように押さえる。
「隠さなくてもいいじゃないの。ちょっと見せて」
椿は無理矢理につくしの手をどけてまじまじとネックレスを観察する。
「これ、司にもらったの?」
「あ、はい。こんな高いのあたしには似合わないって言うのに・・・」
「そんなことないわよ。かわいいわ」
何かを思案している様子だった椿が、しばらくして口を開く。
「司が似たようなのしてるの、知ってるわよね。あれはつくしちゃんが?」
「イエまさか!あんな高そうなの買えませんよ」
「じゃあ司が自分で買ったのね」
「そう・・・かもしれません。聞いたことないですけど」
最近いつも司がしているペンダントを思い出しながらつくしが答える。
「ふぅーん。なるほどねぇー」
椿はなにやら深く納得した様子だ。
「わたしね、昨日たまたま司のペンダントに気づいたのよ」
「はぁ、そうなんですか」
いたずらっ子のように目を輝かせて話し出す椿に、つくしは不思議そうに相槌を打つ。
「司がするにはなんとなく珍しいデザインだったからもしかしてつくしちゃんとペアなの?
って聞いたら大慌てで真っ赤になって否定してね。」
そのときのことを思い出して笑いを堪えている椿。
「俺様が女とペアルックなんてつけるわけねぇじゃねーか。ななな、何すっとぼけたこと
言ってんだよ。なぁんて言っちゃってね」
とうとう堪えきれずに声を立てて笑い出す椿。
「服じゃないんだからペアルックじゃなくてペアグッズでしょーって鉄拳かましといたけど。
やっぱりペアなんじゃないの。あー、おかしい。わが弟ながらホント、かわいー奴だわ。
顔見たら絶対からかってあげなきゃ」
「お、おねーさん、お手柔らかに...」
嬉しそうにけらけら笑う椿を見つつ、脱力したつくしであった・・・
Fin