・・・・・・・

.. 「・・・い、花沢類っ」

 肩を揺すられ、俺ははっと目を覚ます。

 ここは・・・・?
 
 「やっと起きたよ・・・何回呼んだって起きないんだもん・・・」

 制服姿の牧野が目に入る。
 あたりを見回すと、フィジーのビーチでも何でもなく、見慣れた英徳学園の非常階段。
 
 ・・・やっぱり、夢だったんだ・・・

 胸に芽生えていた小さな喜びが、音をたてて崩れていく。
 
 「待たせちゃってごめんね。帰ろう」

 牧野が俺に手を差し出す。
 帰ろうって・・・・

 「司は・・・いいの?」
 
 「・・・道明寺?」

 何故その名前が・・・とでも言いたげに、牧野が首をかしげる。

 「道明寺だったら、とっくの昔に海ちゃんと帰ったよ」

 「海・・・?」

 夢と現実が頭の中で交錯する・・・・
 寝ぼけてるんだから・・・と、牧野が苦笑する。

 「じゃあ、俺たち付き合ってるの?」

 「・・・突然何言い出すのよっ!」

 頬を真赤に染め、突然俺の肩をばしっと叩く。

 「そ、そんな面と向かって改めて言われたら、恥ずかしくなっちゃうじゃない・・・」

 花沢類のばかばかっ・・・と、牧野は攻撃の手を休めない。
 だんだん冴えてくる頭。
 俺は全てを思い出す。

 身を切るような想いをして、司に決別を告げた牧野。 
 ずっと側で見てきた俺。
 『牧野の笑顔が見れればいい』と、そんな小さな願いが叶ったこと。
 牧野の笑顔を作るのは、俺だという事実。

 「・・・ちょっと・・・1人で何笑ってるの?」

 そう尋ねる牧野の腕を、ぐっと引っ張る。
 俺の胸に倒れこむその唇に、そっと口付ける。

 「・・・・っ!」

 瞬間に唇を離し、赤い顔をさらに赤く染める牧野。

 「この・・・・キス泥棒っ!」

 「ごちそうさま」






 俺はすっと立ち上がり、手を振り回して攻撃する牧野から逃れた。





 神様、ありがとう
 たった一つの夢を現実にしてくれて
 覚めない夢を、僕にあたえてくれて・・・・・



                       *****fin*****
 
 
 




 

sweetberryよりひとこと------.

このお話はポンちゃんのHPでのキリ番プレゼントで
秘密のあっこちゃんがゲットされたお話です。
今回わたしのHPでトール作品と一緒にUPしていただけないかという
嬉しいお話があり賛同させていただきました。(*^_^*)

ポンちゃん→秘密のあっこちゃん→わたし→今読んでいただいたあなた
わ〜〜!いろんな所リレーしてお届けできたお話なのね。
しみじみ・・・

「music by Sora Aonami」